附帯決議

衆議院文部科学委員会 附帯決議

心理専門職の活用の促進に関する件


平成二十七年九月二日

衆議院文部科学委員会


 今日、心の問題は、国民の生活に関わる重要な問題となっており、学校、医療機関、福祉機関、司法・矯正機関、警察、自衛隊、その他企業をはじめとする様々な職場における心理専門職の活用の促進は、喫緊の課題となっている。しかしながら、我が国においては、心理専門職の国家資格がなく、国民が安心して心理的な支援を利用できるようにするため、国家資格によって裏付けられた一定の資質を備えた専門職が必要とされてきた。


 今般、関係者の長年にわたる努力もあり、「公認心理師」という名称で、他の専門職と連携しながら、心のケアを必要とする者に対して、心理的な支援を行う国家資格を創設する法律案を起草する運びとなったところである。政府は、公認心理師法の施行及び心理専門職の活用の促進に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。


一 臨床心理士をはじめとする既存の心理専門職及びそれらの資格の関係者がこれまで培っ

 てきた社会的な信用と実績を尊重し、心理に関する支援を要する者等に不安や混乱を生

 じさせないように配慮すること。


二 公認心理師が臨床心理学をはじめとする専門的な知識・技術を有した資格となるよう、

 公認心理師試験の受験資格を得るために必要な大学及び大学院における履修科目や試験の

 内容を定めること。


三 公認心理師法の施行については、文部科学省及び厚生労働省は、互いに連携し、十分協

 議した上で進めること。また、文部科学省及び厚生労働省を除く各省庁は、同法の施行に

 関し必要な協力を行うこと。


四 受験資格については、同法第七条第一号の大学卒業及び大学院課程修了者を基本とし、

 同条第二号及び第三号の受験資格は、第一号の者と同等以上の知識・経験を有する者に与

 えることとなるよう、第二号の省令を定めるとともに、第三号の認定を行うこと。


五 公認心理師が業務を行うに当たり、心理に関する支援を要する者に主治医がある場合

 に、その指示を受ける義務を規定する同法第四十二条第二項の運用については、公認心理

 師の専門性や自立性を損なうことのないよう省令等を定めることにより運用基準を明らか

 にし、公認心理師の業務が円滑に行われるよう配慮すること。


六 同法附則第五条の規定による施行後五年を経過した場合における検討を行うに当たって

 は、保健医療、福祉、教育等を提供する者その他の関係者との連携等の在り方についても

 検討を加えること。


 右決議する。

参議院文教科学委員  附帯決議

公認心理師法案に対する附帯決議

平成二十七年九月八日

参議院文教科学委員会


 政府は、本法の施行及び心理専門職の活用の促進に当たり、次の事項について特段の配慮を すべきである。

 一、臨床心理士を始めとする既存の心理専門職及びそれらの資格の関係者がこれまで培って

  きた社会的な信用と実績を尊重し、心理に関する支援を要する者等に不安や混乱を生じ

  させないように配慮すること。 

二、公認心理師が、臨床心理学を始めとする専門的な知識・技術を有した資格となるよう、

  公認心理師試験の受験資格を得るために必要な大学及び大学院における履修科目や試験

  の内容を適切に定めること。 

三、本法の施行については、文部科学省及び厚生労働省は、互いに連携し、十分協議した上

  で進めること。また、その他の府省庁も、本法の施行に関し必要な協力を行うこと。 

四、受験資格については、本法第七条第一号の大学卒業及び大学院課程修了者を基本とし、

  同 条第二号及び第三号の受験資格は、第一号の者と同等以上の知識・経験を有する者に

  与えることとなるよう、第二号の省令の制定や第三号の認定を適切に行うこと。

 五、公認心理師が業務を行うに当たり、心理に関する支援を要する者に主治医がある場合

  に、 その指示を受ける義務を規定する本法第四十二条第二項の運用については、公認心

  理師の専 門性や自立性を損なうことのないよう省令等を定めることにより運用基準を明

  らかにし、公認心理師の業務が円滑に行われるよう配慮すること。 

六、本法附則第五条の規定による施行後五年を経過した場合における検討を行うに当たって

  は、保健医療、福祉、教育等を提供する者その他の関係者との連携等の在り方について

  も検 討を加えること。

   右決議する。

参議院文教科学委員 附帯決議より

http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/189/f068_090801.pdf