Voice 026. 公認心理師法成立

                       公認心理師推進ネットワーク 代表

伊藤 翼

 よくここまでこれたな、といった感じです。CPNを応援してくださったみなさま、成立にご尽力くださった関係者のみなさま、本当にありがとうございます。3月に任意団体として活動をし始めてまだ半年しか経っていないかと思うと、ものすごく濃密な時間を過ごしてきた感じがします。あまりにいろいろありすぎたので、ここらでちょっとこの半年を振り返ってみようと思います。

 僕自身は学部に入った2005年頃から国家資格創設に関しては眺めてはいたんだけども、情報が入ってこないので業界の上の人たちに任せっきりになってしまっていたんですね。で、2014年に入って公認心理師法案の話が降って湧いたように現れて、以後現在に至るまでSNSではあーだこーだ盛り上がっていたようです。聴くところによるとmixiやブログが流行り始めた頃にもあれこれ議論があったのだとか。

 CPNをつくることになったそもそものきっかけは、2014年7月に中野サンプラザでの公認心理師法案の説明集会があり、半ばSNSのオフ会的に心理学に携わる人たちが集まったことからだったのかもしれないですね、今思うと。その後、2014年の法案の廃案を受けて、すごくショックだったんですけど、「この法案はこのまま潰したら日本の心理学ワールドは先細りになってしまう。絶対に国家資格をつくらなきゃいけない」と11月頃から現副代表の長内さんと、「若者チームでインターネットを中心に国家資格をつくるための活動をしよう」といったところからスタートしました。情報は降りてこないんじゃなくて、自分から取りに行かないといけないものだったりして、いろいろ調べたらこの50年にどういうことがあったのか、ということが少しずつ見えてきました。その中で公認心理師法案再提出の動きが出てきたため、2015年が明けて現在のCPNのチームアラフィフのみなさんと相談し、3月にCPN創設、総会・集会を開催していくことになりました。この頃、急ピッチでやらなきゃいけないことが多すぎてCPNメンバーはみんな頭おかしくなってたんじゃないでしょうか。で、本当ならネットでの情報発信がメインの活動のはずが、全国で5回のミーティングを開催しましたし、国会議員の先生方にお願いに行ったりと、実働的なことが増えていって、みんな本業がある中で合間を縫って、身銭を切って、ヒーヒー言いながらやってきました。これが大変だけど楽しかったり。今でも毎日飽きもせずメッセンジャーでやりとりしてましてiPhoneがずっと鳴ってます。おかげさまで法律は成立しましたが、その日にお祝いもせずこれからの課題について話し合っちゃう僕らはワーカホリックですね、間違いなく。

 ざっと振り返ってみました。国家資格ができたことがうれしいのは間違いないんですが、ようやくスタート地点に立っただけというのもあって、喜ぶばかりでもいられません。これからこの資格をどう運用していくのか、まだ詳細は全然決まっていないし、あと2年で決めていかなきゃいけないのです。臨床心理士ができた時の経緯を考慮すれば、基礎心理学をないがしろにすることはあってはならないし、数ある民間資格団体や他の国家資格専門職団体との折衝などもあり、それらを考慮して職能団体もつくらなければなりません。世の中で公認心理師がきちんと役目を果たしていくための課題もたくさんあります。今回の成立までの間に数々の意見や批判があったのはまだいい方で、無関心だったり、人任せだったり、情報を自分で取りに行こうとしない人が多くて、自分たちのプロモーションやパフォーマンスがまだまだということがよくわかりました。一方で幸い今回の成立をきっかけに関心を持った人も多いようなので、これからはそうした人たちを巻き込んで、公認心理師が患者、クライエント、被支援者などの役に立てるためにはどうなっていければいいかを考えていければと思っています。成立までの期間限定の活動のつもりでいましたけど、まだまだやめられないみたいです。このままライフワークになっていくんでしょうか…。ま、つくるだけで終わりにしてあとは丸投げってのも責任放棄みたいになってしまうので、公認心理師がしっかり運用されるまでは当面の間、活動を続けてくことになりそうです。

 

 CPNは、今後もインターネットでの情報発信を軸に、他団体とも協議をしながら、公認心理師の普及・活躍の推進に注力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。