Voice 018. 国家資格の必要性について日々感じること

匿名希望

 私は、教育相談機関、医療現場の臨床心理士およびスクールカウンセラーとして勤務しています。

    働いていて感じるのは、クライエントさんの中には臨床心理士という資格を国家資格だと思っている方も大勢いらっしゃるということです。国家資格かと聞かれた際には民間の資格で国家資格ではないと説明しますが、なぜ、国家資格ではないのかと聞かれることもあります。クライエントさんからすると、国家資格という方が安心感もあるのだろうと日ごろから感じております。臨床心理士は、大学院を卒業して、その後の試験に受かって初めていただける資格なので、それだけ勉強しなければ取得することはできません。その点は、他の国家資格である医師や看護師、介護士、精神保健福祉士と同じであると思っております。しかし、心理士だけが国家資格ではなく、民間の資格となると、クライエントさんからすると不信感を抱く方もいらっしゃいます。今の時代、ストレスも多く、精神的に弱ってしまう方は多くいらっしゃると思います。そのような方が、心の専門家を訪ねてきてくださった場合、心理士が国家資格であるという方が、おそらくカウンセリングを受ける際にも安心感につながるのではないかと感じております。

 また、大学院を卒業して、臨床心理士として働かせていただいておりますが、雇用形態は安定していないというのが現状です。交通費を支給されていない場所もあります。臨床心理士は、専門性の維持および向上のために、スーパービジョンを受けたり、研修会に参加したりすることが生涯を通して求められます。私は自分自身の専門性を高め、それをクライエントさんに還元していきたいと思っております。参加したい研修会は多くありますが、生活との両立が難しい状態で断念せざるを得ないことが多々ありました。私の同期や先輩にあたる臨床心理士も、スーパービジョンや研修会に参加するためのお金を工面することが難しく、断念することが多いと話しておりました。一般企業でしたら 、研修会費は会社が負担するというところがほとんどですが、臨床心理はそうはいきません。国家資格になることによって、心理職が安定した職になり、専門性を高めていける環境が整うことを期待しております。

 心理職が国家資格化することは、心理士に援助を求めてきてくださったクライエントさん、および心理士として働く私たち双方に大きな意味があることだと思っております。そのため、私は心理職の国家資格化が実現することを切望しております。