Voice 001. 公認心理師推進ネットワークの立ち上げについて

今井たよか(あるく相談室京都)

 「公認心理師法案」は現在は審議未了で廃案になっています。この法案は、ちょうど1年前の20142月頃に議員連盟で作成が始まり、4月に骨子が公表され、6月にはすべての条文が完成し国会に提出されました。通常国会はそこまでで終わり、法案は継続審議となった後、秋の臨時国会で与野党の調整が行われ、衆議院文部科学委員会で審議入りする予定でしたが、審議入りの直前に衆議院が解散され、廃案になったものです。

 「公認心理師法案」に至るまで、50年にわたる「心理職の国家資格化」の紆余曲折がありました。そしてこの法案についても、さまざまな議論が沸き起こり、先行きは不透明です。心理職の国家資格に関係する団体は、主だったものでも100団体前後あると見られ、団体間・団体内の利害関係も複雑です。その複雑さが、心理職の国家資格という、この国の心理支援の未来に関わる問題について、心理職の中の若い人々や中堅の人々、あるいは一般市民の人々から、「とても遠いできごと」と感じられる原因になっているように思われます。

 組織や団体の意向を離れて、できるだけ誰でも自由に、心理職の国家資格の問題について、情報をやりとりし、意見を述べ、疑問を出し合うことのできる、自由な場が必要ではないか。特に、国家資格の実現を願っている声は、すぐに「組織の声」に掻き消され、個人のものとしては届けにくくなってしまいます。心理の仕事をしている私たち臨床心理士や臨床発達心理士や、そのほかの、資格を持つ、あるいは持たない心理職の人々、関係する多くの職種の人々、心理支援を必要とする人々とその家族や支援者の人々、誰もが、心理職の国家資格実現についての、自分自身の願いや意見や疑問を出していける場が作れないだろうか、というのが、このネットワークのテーマです。

 「公認心理師法案」について、反対する意見や慎重な意見もあります。それらの意見を表明する場としては、別の会が存在しています。「公認心理師法案」を推進する個人の声を表明できる「安全な場」は、これまで存在していなかったと思います。そこで、当ネットワークでは、まず、個人として表明しにくいと思われる「公認心理師法案推進」の声を、その個人の希望に応じて匿名性を守りながら伝えていきたいと思っています。

 また、反対や慎重の意見がどのようなものであり、そこから何を学ぶことができるかについても、ネットワークで吟味して資料作成をしていきたいと思っています。

 「公認心理師法案」が今後どのようになるかは、まだ誰にもわかりません。しかし、2014618日は、今までのこの国の歴史の中で、心理職の国家資格化が最も実現に近づいた一日でした。私たちは、これから、何をどうしていくのか。当ネットワークを通じて、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。