日本臨床心理士会代議員選挙特設コーナー

 現在、(社)日本臨床心理士会代議員選挙が行われています。投票締切は3月13日(金)(当日消印有効)です。なお,地方区の東京都と埼玉県は再選挙です。新たに送付された投票用紙と封筒で投票してください。投票締切は3月20日(金)(当日消印有効)となっております。

 CPNでは、公認心理師法案の早期成立を推進する候補者からのメッセージを集めて、会員のみなさまの選択の一助としたいと思います。寄せられたメッセージを順次掲載します(候補者氏名/所属、五十音順)。

 

掲載候補者一覧

全国区

今井たよか、江口昌克、小澤康司、 奥村茉莉子、 片岡玲子、川畑直人、窪田由紀、児島達美、田中康雄、津川律子、鶴光代、冨永良喜、新田泰生、野島一彦、信田さよ子、橋本和明、平野学、藤原俊道、松森基子、宮崎昭、New 村瀬嘉代子、村山正治

地方区

北海道:佐藤由佳利、千葉県:飛田野剛、東京都:石川悦子、川邉讓、白井志之夫、徳丸享、福田由利、山梨県: 清水隆善、静岡県: 香野毅、島根県:足立智昭、福岡県:浦田英範、日高崇博、佐賀県:高橋幸市

 

【全国区】

今井たよか/あるく相談室京都、日本臨床心理士会資格法制化プロジェクトチーム委員

 私は、滋賀県臨床心理士会理事会の推薦を受けて全国区に立候補しています。地方の現場からの声を全国に伝え、臨床心理士が職業として発展するために必要な基盤の整備に貢献したいと思っています。すなわち、①地方からも、若手からも、どの領域からも、意見の交流が活発に行われるようなしくみを作ること。②どの地域でも、どの領域でも、十分な生涯研修を続けられる体制を整えること。③領域内・領域間の関係職種との連携、地域におけるチーム支援の発展を職能団体として支援すること。④これらを確立するために必要な国家資格・公認心理師法案の早期成立を推進すること。①~④について特にインターネット活用の視点も加えて努力していきたいと思います。

 

江口昌克/静岡大学、日本臨床心理士会代議員、医療保健領域委員会副委員長 

 様々な職場で働く心理職を包摂し、日本臨床心理士会が一体として活動できてきたことは、資格法制化という大きな目標があったためと思われます。「公認心理師法案」は長年の努力により内外の現実問題をクリアし、後一歩まで漕ぎ着けた結果でもありますが、同時にわれわれの専門性を更に多くの国民に提供する機会の始まりです。私は法案の早期成立を願うとともに、日本臨床心理士会組織の一層のまとまりを重視し、尽力していきたいと思います。


●小澤康司/立正大学 日本臨床心理士会被害者支援専門委員会委員、横断的課題プロジェクト災害対策構想班委員

 これまで、被害者支援活動や産業領域を中心として活動してまいりました。様々な「危機」でダメージを受けた人々やその周囲の人たちへの心理社会的支援活動は心理職の重要な仕事であり、近年様々な被害者を支援する法律等が整備され、政府機関や自治体等で活動体制の充実が図られています。しかし、心理社会的支援の重要性が認識されているにも関わらず、心理職が国家資格でないことから、その体制づくりに心理職が参画できない、活動できない問題が起きています。心理職が国家資格になり、心理社会的支援の重要な担い手として公的に活動できることは、多くの方々へ支援が行き届くことになります。公認心理師の法制化を進めるとともに、社会の各分野で活躍する心理社会的支援の専門家としての養成に努めてゆきます。

 

●奥村茉莉子/子育て工房心理相談室、一般社団法人日本臨床心理士会専務理事(東日本大震災心理支援センター運営委員、横断的課題検討PT災害対策構想班班長、引きこもり対策構想班班長、研修企画検討班員)、臨床心理職国家資格推進連絡協議会事務局長

 平成元年から、心理職が医療だけで働く診療補助職ではなく、どこでも働ける国家資格職種となるために種々の問題に取り組んできました。今回の公認心理師法案は多くの心理職のみならず専門職団体とのぎりぎりの調整で策定されたものです。そして行政機関からも、多くの当事者からも、心理職が国家資格を取得するよう望まれていることを日々の活動から感じます。

 法案再提出に向けての現状は電子版速報№21(日本臨床心理士会HP掲載)にもありますように、①昨年6月提出の「公認心理師法案」の<再提出>により成立を期すか、あるいは②臨床心理士資格との比較で「公認心理師法案」の“問題点”をことさらに強調して、法案作成に至った調整のバランスを損ない、国家資格化を断念するに至るかの分かれ道に、私たちは置かれていることをここに強調したいと思います。

 心理臨床の人材を必要とする国内外の問題・課題はさまざまなニーズに現れています。心理職が団結して研修に力を入れ、更に質を高めて多くの場所で人々に出会ってゆけるようになることを希望します。そして出発点としての法案成立を目指し、今後の実務を通じて改善してゆくことをめざします。

 

●片岡玲子/立正大学心理臨床センター、日本臨床心理士会常務理事・被害者支援委員長、東京臨床心理士会副会長

 公認心理師法の成立を心より願っています。

1960年代から、心理職の国家資格についての必要性が語られ、様々な社会情勢を経て30年ほど前から将来の国家資格を目指し、自分たちで心理の資格を創ることになりました。河合隼雄先生や小川捷之先生などすでに故人になられた方々の水面下でのご努力も大きかったと思います。こうして臨床心理士が誕生しました。今日、臨床心理士がある程度社会に認められてきたのはここまでの活動の賜物だといえます。臨床心理士はそれなりに発展してきました。けれども民間資格としてできることは限界に近づきつつあります。

 ある日、臨床心理士会事務所に帰ってこられた河合隼雄先生が「医師の指示を受け入れることにしたから・・」と言われたのです。他職種との鬩ぎ合いの中、今思えばこれは大きなターニングポイントであり、河合会長(当時)の大英断だったといえます。そしてこの「指示」は保助看法を開かない(診療補助職ではない)というものでした。大学院卒をメインとする資格といい、診療補助職でない指示といい、前例のないことです。また汎用資格のため文部科学省と厚生労働省が共管されるということもそうあることではないようです。

 不安をお持ちの方もあるようですが、私が資格化に関わって半世紀、これ以上のチャンスはないと感じています。国家資格化に反対ではないといいながら、今修正を主張される方々は、資格化を阻止しようする動き以外の何ものでもないといわざるを得ません。何十年もかかって論議してここまできたことが、なお時期尚早などといえるでしょうか。

 資格は専門家だけのものではなく、必要とされるみんなのものです。

 

川畑直人/京都文教大学、日本臨床心理士会司法矯正領域委員長

 心理士が社会的責任を引き受けうる専門家の資格として成熟するために、また、心理士の地位・職域を確保し、その活躍の可能性を広げるために、法制化は重要な一歩であると考えています。そのためにも、関連諸団体の間で合意を得た、公認心理法案はできるだけ速やかに成立させるべきです。未来に対して過度に不安をあおり,歴史を停滞させるべきではありません。私は、法案の成立を推進したうえで、臨床心理士の理念を生かした制度を構築できるよう、最大限努力するつもりです。

 

窪田由紀/名古屋大学、日本臨床心理士会教育領域委員会委員、自死予防専門班協力委員

 今年は阪神淡路大震災、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業の開始からちょうど20年、この間種々の困りごとを抱えた人への心理的援助の必要性は「こころのケア」という言葉とともに広く社会に認知されるようになってきました。しかしながら心理職が国家資格でないために、必要な方々の一部にしか支援が届かない事態が生じていることも事実です。今後さらに社会の複雑化・流動化が進む中、より幅広い領域で質の高い心理的援助を提供できる体制作りは喫緊の課題です。その第一歩として一日も早い国家資格化を実現し、これまでの蓄積を反映したよりよいものとすべく最大限力を尽くしたいと思っています。

 

●児島達美/長崎純心大学

 私は、この20年を超える心理職を取り巻く社会状況の変化と、それに伴う国家資格化の流れを振り返る時、あらためて今回の法案のもつ意義を深く感じるものです。特に、社会のあらゆる領域から心理職に対するニーズが高まり、同時に、他専門職や行政との連携をより深めていく上で、心理職が国家資格ではないことによる限界が現実のものとなってきたからです。たしかに、心理職の中でも私たち臨床心理士こそが、その質の保障と諸活動においてリードしてきたことは事実ですし、少しでも私たちに有利な形での国家資格を望むのは当然です。しかし、あまりにも自分たちのアイデンティティだけを守ろうとすることは、かつてもそうであったように、内外の他専門職との間に必要以上の軋轢と対立構造を生むだけです。もし、今回もまた同じような方向を目指すとなれば、おそらく国家資格そのものが水泡に帰してしまうでしょう。ですから、ここは、国民への心理サービスの拡大のために、私たち臨床心理士こそが、大いなる一歩を踏み出し、国家資格化された後、心理職のさらなる充実に向けてさらなるリードをとっていきましょう。

 

田中康雄/医療法人社団倭会 こころとそだちのクリニック むすびめ

 このたびの公認心理師法案が,今年再提出される可能性が大きいと聞く一方で,これがラストチャンスという話も耳にします。

 私は精神科医であり臨床心理士の資格も取得しましたが,日々の臨床では,心理職を診療補助職と感じたことはありません。私の周囲の心理職の方々はとても立派に仕事をなされ,私自身,日々とても助けられています。今後,国家資格としての公認心理師が実現されることで,自らの専門性により誇りと自負と責任を持って仕事ができるよう頑張りたいと思います。

 

津川律子/日本大学文理学部心理学科、日本臨床心理士会副会長(医療保健領域委員会担当、司法矯正領域委員会担当、横断的課題検討プロジェクトチーム代表、自死予防専門班班長)

 私は「臨床心理士」制度で最初に合格者がでた年の一人です。資格交付日は1988(昭和63)年1110日になっています。以来、臨床心理士であるというidentityをもって臨床実践をしてきました。同時に、国家資格を強く願い、そのための活動に関わってきました。先達が「臨床心理士」制度を構築したその努力を見習い、諸外国や国内の関係職種と比べて明らかに遅すぎた国家資格が、いまこそ実現することを願っています。国家資格は特定の個人や団体の為のものではなく、日本で暮らす生活者の為のものです。

 真面目に日々臨床実践を続けている全国各地の臨床心理士と共に未来を切り拓きたいと思います。

 

鶴光代/東京福祉大学、臨床心理職国家資格推進連絡協議会会長

 心理職の資格制度の動きには、少なくとも50数年の歴史があります。その始まりは、1960年前後に見ることができますが、その後の紆余曲折を経て、1982年に設立された日本心理臨床学会によって、国家資格制度が最重要テーマとして、改めて検討されました。しかしながら、直ちの実現が困難であることから、第6回総会にて、「資格制度を確立する布石として」、日本臨床心理士資格認定協会の設立が承認されました。当時の常任理事会で「国家制度としての資格を最終目標」としたその理念が、今、「公認心理師法」として実現されようとしています。

 「臨床心理士」の資格は、その実力によって、現在、社会に広く認められています。しかしながら、国家資格でないことからくる活用の困難性があるので、国民のためにもそれらを解消できる資格が、臨床心理士とは別に必要です。これまでの長い道のりのなかで、今ほどに大きな実現可能性を見たことがありません。将来のためにも、この機会を逃してはなりません。これからも、日本臨床心理士会の発展と、国家資格の実現に力を尽くします。


冨永良喜/兵庫教育大学大学院、日本臨床心理士会・被害者支援専門委員会協力委員

 公認心理師法を再提出し成立させることが、わが国の子どもから高齢者にいたる全ての人の心の健康及びメンタルヘルス障害の予防と対応を促進すると考えます。犯罪被害者等基本法ができたから、被害者参加制度ができたように、法律ができることで、省令等に心理専門職の位置づけが明記されるようになります。42条-2は医師と緊密な連携を図るために、国会議員のご尽力で法案に追加された45条-2で現実的対応をはかっていきましょう。そして、国家資格・公認心理師法が成立すれば、つぎは、国家資格・公認心理療法師(仮)をめざしてはどうでしょう。保健師は看護師資格があるから国家資格となっているのです。2030年後の日本をにらみ、臨床心理士がお互いRespectして、よりよい心理支援のシステムを作っていこうではありませんか。

 

新田泰生/神奈川大学大学院臨床心理学研究領域教授、(社)日本臨床心理士会産業・組織領域委員会副委員長

 私が強く望むことは、臨床心理士が、真にプロフェショナルな職業として、経済的にも、心理的にも、社会的にも、政治的にも、自立した状態になることです。特に、経済的自立は、深刻に憂慮すべき大問題です。国家資格を得たからと言って、経済的立場などが急に好転するという楽観的見通しは持ってはいませんが、逆にこの機会を逃したならば、先の展望は文字通り「ジリ貧」の道しか見えません。今年12月からの実施が義務化されたストレスチェック制度の法案を見ても、国家資格でない限り、心理職はその業務に携われません。産業保健活動の交渉事のテーブルにはつけないのです。テーブルについてこそ、茨の道にもなるでしょうが、今後心理職の未来を切り開いていく可能性も生まれてきます。この状況で、国家資格化をためらうことは、後進の未来の可能性を閉ざす先細りの道と思います。

 

野島一彦/跡見学園女子大学、日本臨床心理士会副会長(資格法制化プロジェクトチーム代表)

 昨年6月に国会に提出されました『公認心理師法案』は、あと一歩のところで突然の11月の衆議院解散のため廃案となりました。日本臨床心理士会は、日本心理臨床学会等の約60の学会・団体と歩調を合わせ、この法案が今国会に<再提出>されることを要望しています。この法案は、心理学側、医療側のぎりぎりの折衝のなかで、ようやくまとまったものです。その特徴は、日本臨床心理士会の「公認心理師法案のポイント」に記載されているように、汎用性の資格です/大学+大学院修了の6年がメインコース/診療補助職ではありません/「当該支援に係る」主治医がある場合に限定して「医師の指示」が必要です/私設心理相談室開設は可能です。

http://www.jsccp.jp/suggestion/license/pdf/20150203houan_point.pdf

 現状について、議員連盟の某議員は「現在は8合目まで来ており、頂上は見えている」と言われています。今国会で是非、頂上まで到達すべく力を尽くしていきます。

 

橋本和明/花園大学

 公認心理師の一刻も早い実現が望まれます。特に,これからの若い世代の人たちの安定した職場の確保や能力の向上のための研修システムの構築が不可欠です。これまで臨床心理士が国家資格でなかったばかりに,公的機関の公募が見送られたり,正規雇用がなされなかったりすることもありました。そうならないためにも,是非とも皆さんと一緒に国家資格としての公認心理師の実現に努力をしていきましょう。

 

信田さよ子/原宿カウンセリングセンター

 私設心理相談機関を運営して20年経ちました。来談者は精神科医療との接触がない方が約8割ですが、多くの方々が心理職の国家資格がないことに驚かれます。様々な家族の問題、暴力やハラスメントの問題に迅速かつ確実に対応できるためにも、多くの人たちの問題解決の場として信頼をかちえるためにも、公認心理師法案成立が必須です。そのような立場から代議員選挙に立候補しました。 

 

平野 学/慶応義塾大学、日本臨床心理士会常務理事、他

 私は精神科の病院臨床を15年、学生相談で20年、個々の臨床とそれをとり巻く組織への関わりを大切に実践してきました。同時に日本臨床心理士会では20年余、事務局等を中心に会の発展に寄与すべく、活動してきました。

 現在様々な積み重ねを経ての「公認心理師」法案を、今度こそきちんと通し、引き続き予想される大変な作業の中、我々臨床心理士こそがしっかりとリーダーシップを取り続け、我が国の心のケアの体制充実と整備に一層尽力して参りたいと念じています。

 「臨床心理士」が誕生してやがて30年。ただ我々をとり巻く環境も変わってしまいました。最初は心のケアの担い手として、しかし今では既に国家資格を有する多職種の力量とこの領域への参入という局面にいます。この現実をしっかり見据え、真に求められる職種や人材たりうるよう、また若い人も自信と誇りをもって仕事ができるよう、頑張りたいと思います。


藤原俊通/陸上自衛隊 東北方面隊 メンタルサポートセンター

 陸上自衛隊で勤務している藤原俊通です。

 防衛省・自衛隊には現在150名もの臨床心理士が所属しており、隊員のメンタルヘルスを担っています。自衛隊員もごく普通に社会で暮らす人々であり、彼らに向き合うことは社会全体のメンタルヘルスにつながります。防衛省に限らず、人が生きるすべての場所は広く社会とつながっています。臨床心理士は自分が所属する組織内にとどまらず、広く社会全体に働きかけていく必要があると思います。国家資格化は、そんな私たちの思いを形にするための第一歩と言えます。目の前のクライエントから組織、そして社会へとつながっていく活動の基盤作りのために、「今ここで今の自分にできること」を積み重ねていくつもりです。どうぞよろしくお願いします。


松森基子/南青山心理相談室、日本臨床心理士会理事

 私は私設心理相談領域委員会で、人々が困難を抱えたり、自分のこころと向き合いたいと思ったときに、開業心理相談機関が確かな選択肢の一つになる社会を実現するために、「開業」を核に据えた研修会を実施する他、国家資格制定後を見据えて、開業心理相談機関の登録制度、相談機関開設のガイドライン、開業臨床心理士をつなぐ場の創設を含む、様々な事業を検討してきました。これらの事業を引き続き担いたく、候補者になりました。

 私はサイコロジスト資格とサイコセラピスト資格は別物との認識に基づき、英米のサイコロジスト資格に近い高度専門職の基礎資格としての公認心理師資格の実現を推進してきました。私自身のidentityはサイコセラピストですが、医療・保健・学校・産業・福祉・司法・法務等、様々な現場で切実に求められているのは、<アセスメント/アセスメントに基づく支援プログラムの立案とそのマネジメント/プログラム中の心理支援>ができるサイコロジストです。壊すのではなく、繋がり、創りましょう。

 

宮崎昭/山形大学教授、山形県臨床心理士会会長、日本心理臨床学会常任理事

 動作法や発達障害児の支援、HIVカウンセリン等において活動してきました。国民の生活において臨床心理士が寄与する場面は、平成元年の設立当初から比べて飛躍的に拡大しました。こうした国民生活に深く根ざした業務について、国民が信頼でき、世界からも信頼される公的な国家資格を樹立することは業務責任を担う上で必須だと考えます。国家資格のために関係機関並びに国会議員の方々との交渉に労を惜しまず努力してきた日本臨床心理士会の活動を一層推進したいと考えます。


New

● 村瀬嘉代子/日本臨床心理士会会長 

 日本臨床心理士会は公認心理師法案の成立を目指しております。国家資格は「一定の基準を満たす専門的実力の保持者」であるということを示し、これは社会の人々が心理的支援を受けるときにその質を保証し、安心を贈るものです。一方、心理職者が国家資格を取得することにより、職域や雇用の拡大が期待されます。様々な領域の事業所で職員の設置基準を定める場合、国家資格を持つことが多くの場合条件とされています。社会に役立つ存在になりたいという意欲を持つ人々が希望を持てるには、国家資格は必要です。もちろん、国家資格が出来た後も様々な課題があります。私はこれらの諸問題に対し、誠意をもって解決に努めて参りたいと思います。ご一緒にご協力下さることを願っております。

 

村山正治/東亜大学大学院臨床心理学専攻、日本臨床心理士会常務理事

 現在の公認心理師法案にいろいろ課題が有ることは事実です。しかし、日本社会における国家資格の持つ社会的、文化的、制度的な意義を考えると、やはり現法案を推進すべき

と考えます。「医師の指示」がSCなどの教育分野の業務を妨げないということについては、クリアできる方向性が出ています。文部科学省のSC事業でもすでに臨床心理士独占ではなく、SSW が参入しています。いじめ問題をはじめ、他職種との協同ワークが課題解決に必要になっています。厳しい現実に取り組むSC事業から生まれてきた他職種との協同の在り方の実践知は蓄積されてきています。

 国家資格成立後は、速やかに臨床心理士の叡知を結集して、今後の発展に向けた活躍のパラダイム創造が必要と考えています。新しい未来の建設にSC事業も役だちたいと夢見

ています。その実現に貢献出来るのは、心理研修センターと認定協会の協力だと思います。

 

【地方区】

<北海道>

佐藤由佳利/北海道教育大学大学院、日本臨床心理士会代議員

 臨床心理士会は、岐路に立っています。公認心理師法案は今年、再提出される可能性が大であり、心理職の世界は変わっていきます。日本の中で、心理職として私たちが研鑽を積み、社会から信用を得、社会からのニーズに応えていくために、臨床心理士会も変わっていかなくてはなりません。

 その変化の時に、代議員として力を尽くしたいと考えています。大事なのは、資格法制化以降です。しっかりと、大局を見て進んでいきたいと思います。

 

<千葉県>

飛田野剛/千葉県精神保健福祉センター、一般社団法人千葉県臨床心理士会監事

 臨床心理の仕事の領域は、クライエントとの一対一の契約に基づくものだけではありません。閉じられた世界に限定されるものでなく、社会の中で様々な人々と関係しながら行っていく部分がたくさんあります。内閉的論理に陥ることなく、社会の中で様々な方たちと連携し、信用・信頼される職種となっていくことが大切だと思います。日本臨床心理士会がこれまでの努力の中でせっかく築いてきた関係者からの信用を失うような非常識な振る舞いを、次期の会がすることのないように及ばずながら尽力したいと思います。

 

<東京都>

●石川悦子/一般社団法人東京臨床心理士会副会長・学校臨床心理士専門委員長

 

 国家資格化の早期実現を願い「公認心理師法案」成立を強く希望します。国家資格化を願う気持ちは同じでも様々な意見があることは承知していますが、まずは心理職の国家資格化を実現するために団結することだと思います。長く教育臨床の現場で仕事をしてきましたが、日本の将来を担う青少年の健全で心豊かな成長のために、スクールカウンセラーや教育臨床で働く人材を安定的に確保し、高い専門性を担保していくために身分の安定が必要であること。また、心理職が国家資格を得て対等な身分を持つ者として、教育行政、医療・保健、福祉、司法・矯正など関連領域と行動連携を図りチームを組んで取り組むことが必要です。


川邉讓/一般社団法人 東京臨床心理士会 副会長

 いわゆる3団体合意とそこに至るプロセス、および法案として結実するまでの間の関係団体・関係省庁の調整のプロセスは、最大限に尊重されるべきものと考えます。多様な意見があることは承知しておりますが、今は、国家資格化実現に向けて臨床心理士が一致団結するべき時だと考えます。一致団結するからこそ、次の段階に想定される法律の運用規程作成等に我々の意見を反映させ得るものと思います。

 

白井志之夫/東京臨床心理士会 産業領域専門委員長

 公認心理師法案通過のラストチャンスです。

これに失敗すると、国家資格化の可能性は永遠にゼロになります。

特記すべきは、臨床以外の多くの心理学系の支援を受け、彼らの今後についても担わなければならない重責が否定できません。

これが通らないと日本の心理学系全体が著しい格下げに見舞われ、市場での存在価値を危ぶまれることになりかねません。

次世代の活躍の機会を広げるためにも、ご協力をお願いします。

 

徳丸享/板橋区保健所、一般社団法人 東京臨床心理士会 会長、一般社団法人 日本臨床心理士会編集委員長・資格法制化プロジェクトチーム副代表

 心理職の国家資格化を実現するためには、今回の公認心理師法案を成立させることが必須です。修正要望は現実検討を欠いた主張です。この法案が成立しなければ心理職の国家資格化は、将来的にも望めない状況になるでしょう。それは、この法案が2005年の2資格1法案の頓挫以降、10年の歳月をかけて、政治家や医療団体、心理学諸学会などとの並々ならぬ調整を経た結果だからです。法案が国会に提出され、成立前夜まで進んだ今、更に法案に意見を述べることは、関係者の努力を否定し、国家資格は望んでいないと宣言しているに等しい行動です。

 心理支援を必要とする人が、心理職による支援を受けられるようになるためには、今のチャンスを逃してはなりません。そして私たちは心理支援の能力を一層高めていくことをめざして、私たちの職能団体を、力を合わせて成長させていきましょう。


 ●福田由利/大石記念病院、一般社団法人東京臨床心理士会事務局長・医療保健専門委員長、東京精神科病院協会CP部門運営委員長

 医療機関に勤める臨床心理士は、国家資格がなく、診療報酬に算定される業務も少なく、肩身の狭い思いをしていますが、関係職種の方々はチーム医療の一員として臨床心理士を信頼してくださっています。でも、今この時機に国家資格化されなければ、さまざまな制度の中から心理職の職名が消えていく危機感を現場にいるからこそリアルに感じています。

臨床心理職が早期に国家資格となり、国の制度の中に組み込まれ、心理的支援を必要としている多くの皆さまに届けたいと切に願っております。


<山梨県>

●清水隆善 山梨県臨床心理士会会長代行

 私は、国家資格の早期実現を願う立場から「公認心理師法案」を支持し、引き続き村瀬嘉代子会長と共に法案成立を推進いたします。

なぜならば、①人々の心の健康の維持・増進及び安心・安全のために②若手の心理職の皆様方が安心して業務が遂行でき、他職種と同等の立場で連携が営め、明るい未来を築くために③心理職の専門性を他職種に理解していただき協働することが一層深まるためにも、国家資格は必要であると考えています。

 「公認心理師法案」は心理職関係諸団体、外部団体の長年の協議のうえ、昨年6月に議員立法として、国会に提出されましたが、臨時国会が解散となり審議未了で廃案となりました。直ちに日本臨床心理士会及び関係諸団体から国会議員さんに対して再提出の要望書が出されました。その中の日本精神神経学会からの要望書には、「無修正成立」と記されており、「法案の修正は、合意形成に向けた多年の努力が水泡に帰してしまうことであり、容認出来るものではありません。」と修正案には応じられないと強く述べられています。つまり、法案は「頓挫してしまう」と警告しています。頓挫してしまうと、今後国家資格ができる見込みは全くなくなり、公的には採用する必要のない職種に位置づけられてしまう。現在、臨床心理士を持っていても、それが将来に亘って尊重される保障はどこにもないという憂慮すべき事態になってしまいます。そのためには、推進派の先生方への支援を何卒お願い申し上げます。 

 私は「法律は国民を守るためにある」と考えます。

*「公認心理師法案」のポイントは、(社)日本臨床心理士会 資格法制化プロジェクトチームよりリーフレットが出されていますので、ご熟読願います。(2015.1.29)

 

<静岡県>

●香野毅/静岡大学教育学部、静岡県臨床心理士会代表幹事

 私は養成機関に所属するわけでもなく、医療機関に従事しているわけでもありません。そういう意味では立場上ではなく、一個人としての意見を持つことになります。私の意見は「国家資格賛成」です。

 この資格は国家資格となった後にも大きな課題を持っています。他の関連資格との連携、臨床心理士の存続、各都道府県士会のあり方、養成と継続的研鑽機会の提供など多岐にわたります。

 国家資格成立の前後にしっかり当事者として関わっていくつもりで、立候補をいたしました。

 

<島根県>

足立智昭/島根大学 島根県臨床心理士会副会長

 県士会ならびに日本臨床心理士会は職能団体であり、職域を確保し、社会的ニーズに応えられるよう専門的スキルの向上に研鑽することが使命と言えましょう。そのためには、国会に再提出される公認心理師法案の成立は必須のことであり、かつ通過点です。心理職の国家資格については25年以上も関係諸機関との間で、議論・協議がなされてきており、紆余曲折ありながらようやく「現実的で実現可能」な局面となり、多くの志ある諸先輩方のご努力があってこそ、ここまで来ています。法案成立後も更なる検討がこれまで以上に必要になってきます。

 しかし、国家資格が成立しないとなると、現在既に産業・組織領域では国家資格でない(質的担保が保証できない)という理由から、ストレスチェック制度への実施者としての参画を認められていません。同様のことが、福祉領域でも現実としてあります。医療保健領域は今更言うまでもありません。仮にもしこのままでいいとの様子見の姿勢を続けた場合に、専門性を活かしての職域確保はだんだんと困難になっていくことを、最も危惧致します。


<福岡県>

浦田英範/筑紫女学園大学、日本臨床心理士会 監事(被害者支援委員会協力委員・教育領域委員会協力委員)

 私は、20年間精神科の病院でカウンセリングをしてきました。その間、スクールカウンセラーもやってきました。カウンセリングを必要と思っているクライエントさん方にお会いしてきました。

 また、微力ながら日本臨床心理士会の運営もお手伝いさせて頂きました。このような経験からも、国家資格の必要性を痛感しています。カウンセリングを受けたいという方々のために医療はもとより、いろんな領域で出会えるようになればいいのではないかと思っています。私自身、国家資格の現実化のために、そして、国家資格になった後の会の運営も微力ではありますがやっていく所存です。皆さん応援して下さい。

 

日高崇博/日本臨床心理士会代議員、福岡県臨床心理士会理事

 現在、心理職の国家資格化に向けて大きく動いていることは誰もが知るところです。これまで蓄積されてきた専門的な知見を、社会からのニーズにこたえながら発揮し続けるためにも心理職の国家資格化は必要不可欠です。また、これまでの経験や実績がしっかりと反映され、他職種や専門機関と連携し機能することができる資格にしていくことも私たちに期待される役割ではないでしょうか。

 私は、30歳前半のいわゆる若手です。5年後、10年後を担うであろう心理職の1人として、今からしっかりと心理職の国家資格化にコミットしていきたいと思います。


<佐賀県>

髙橋幸市/佐賀県立虹の松原学園、日本臨床心理士会理事(福祉領域委員長)

 公認心理師法案の修正を、との言説を振りまいている人たちがいますが、彼らはこの件が通常のフィフティフィフティ関係の交渉事ぐらいに考えているらしい。精神科医療団体、とりわけ日精協(日本精神科病院協会)と七者懇(精神科医療七者懇談会)の政界への影響力の強大さは、2005年当時の2資格1法案が骨子案の段階で彼らの反対声明であまりにあっけなくその推進を停止したことで明らかです。当会とはいわば、大人と赤ん坊くらいにその力は違います。しかも、2005年当時2資格1法案をめぐって医療関係団体との交渉に失敗した当時の責任ある立場の人たちがこの修正要望を臆面もなく叫んでいるとは、彼らは当時の失敗をどう反省し学習したのでしょうか。今回、公認心理師法案について精神科医療団体は無修正の要望書(事実上の要求書)を表明しています。つまり修正するなら、反対に回りますということです。公認心理師法案は、「横断的・汎用性の資格」と「メインルートは学部+大学院の6年間の養成課程」を形にしました。これが2資格1法案当時にはまとまらなかったことを考えれば、私はここが現時点での妥協点であると信じます。これ以上、国家資格化に時間をかけることは許されません。一日でも早期の実現に力を結集しましょう。